工務店さんから聞いた! APS工法について[後編]
千葉県を拠点に活躍する、莇工務店、莇将亜樹さんに聞く
暮らしに寄り添うAPS工法
―莇さんは事務所をAPS工法で建てられました。ユニークなのは天井にウィンチを装備していること。
莇 愛車(バイク)を2階に置きたいということもあり、挑戦してみました。今回導入した機械は家庭用100Ⅴ電源で駆動するもので、250kgまで吊り上げ可能です。収納を考えた時、重い物は下、軽い物は上という発想になりがちですが、家一軒を使い切ると考えたとき、重い物を上階に収納するというアイデアがあってもいいのではないかと思うんです。最近はアウトドアや自転車の愛好家も増えていますし、道具類を屋内に収納したい人も増えてきましたからね。そんなときにウィンチは効果的です。使用頻度は1シーズン1~2回で、音も気になりません。
―構造計算ができるAPS工法だからこそ、楽しめる仕様です。
莇 ウィンチのレール(鉄骨)は梁にぶら下げました。またわが家ですと桁に鉄骨階段を掛けて施工しているのですが、桁だけで充分な強度がありますから安心して重い物を取り付けられるのも魅力です。
―構造計算の上で安全性が確保されていることについて、一般のお客様にはどのように説明を?
三浦 APS工法の場合、同様の在来工法と比較してどの程度の強度があるかを示すことが可能ですので、理解いただきやすいと思います。
莇 また数字で理解しづらいことでも、ウィンチも鉄骨階段などが実際に装備された建物を見ていただくことで、「こういうこともできるのか」と体感いただくのも納得の近道だと思っています。
―注文住宅を手掛ける工務店だからこそ、最適な工法ですね。
莇 お客様の思いを形にするうえで、そのスタートラインで協力くださるのがAPS工法であり、三浦さん。本当に力になっていただいています。プレカットも少しずつブラッシュアップしていて、最近では出荷時点で片引きのピンが入っているのは時短になって有難かったですね。
現場発想をスムーズにフィードバック
―プレカットの現場でも、試行錯誤が重ねられている?
三浦 ピン類もスタート当初は種類も多かったんですよ。その後、精度とクリアランスを検討して、工法への改良と金物類の簡略化が進められ、現在はより建てやすい仕様になっています。わが社では工務店さんごとの注文にも対応していますし、単にカットするのではなく、施工のしやすさや取り回しのしやすさを考慮しているので、以前より良くなったと言われるのは努力が認められたようで嬉しいですね。
莇 ㈱ツボイさんは材料の運搬の段階から、工務店側の要望を聞きながら最適な方法を探っていただける。運転手さんも協力的で、また三浦さんとも連携が取れているので、「ただ運ぶのではない」という姿勢には頭が下がります。
三浦 現場の状況、運送ルート、現場の環境などを鑑みて、工場での積み込み方や梱包の仕方を考えています。余計な張り出しがなく、コンパクトに梱包できるので運搬車の台数を抑えられる利点があるので、とくに住宅地での施工に向いていると思いますね。
無垢材が使える
―今後、APS工法で試したいことは?
莇 APS工法なら無垢材も使えますから、和室真壁(柱をすべて表した和室。柱は構造材として上階や屋根の加重を受けるとともに、化粧柱ともなる)ができるのではないか考えています。金物が内蔵されているので、隠す必要もないし、使える空間が広がりますよね。いずれ主屋を建て替える際にチャレンジするつもりです。
またAPS+鉄骨、APS+RCといった組み合わせにも挑戦したい。いま家での過ごし方が変化していますが、それとともに家に求めるものも変わってきました。たとえば仕事場は鉄骨やRCで設えて自宅は木造という、互いのいいところをリンクできたら未来の暮らし方につながっていくのかなと思います。
年齢を重ねるとともに、居住空間は下がってきます。子どもが巣立って、夫婦二人になって、上階を使い切れないという話をよく聞きますが、では家族構成の変化や生活スタイルが変わった際に、それに対応する住宅をどう建てるべきなのか。私はそういった年月で変わっていく要望に対応できるのがAPS工法だと思っているんです。これからも愛着を持って暮らしていただける、そして歳月にも対応できる住宅をAPS工法とともに目指していきたいですね。
莇工務店(アザミ コウムテン)
千葉県内を拠点に活動する 莇 工務店
一人一人の夢を形に、そして快適に過ごせる家づくりを実現する住まいのトータルプランナーとして知られている。
〒289-1104 千葉県八街市文違301
https://azamikoumuten.com/
莇 将亜樹 (アザミ マサアキ)
莇工務店の若頭:大工経験を基に、安心感を住まい手に届ける家づくりをモットーに、細やかなヒアリングから施主の夢を実現する、任せて安心の若頭。
株式会社ツボイ 三浦 悠介 (ミウラ ユウスケ)
東北から幅広いエリアをカバーするツボイプレカット事業部。信頼を第一に、複雑な構造にも多くの知見と確かな技術で対応するプレカット業界の雄。
株式会社ツボイ
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