工務店さんから聞いた！ APS工法について [前編]

千葉県を拠点に活躍する、莇(あざみ)工務店、莇(あざみ)将(まさ)亜(あ)樹(き)さんに聞く

アップルピンシステムズ(APS工法)を信頼し、選択

―莇工務店では、千葉県を中心にAPS工法でのみ住宅建設を手掛けているそうですが、そもそも莇将亜樹さんがAPS工法に出合ったきっかけは？

莇　11年前に莇工務店を興した父と叔父のもとで大工見習として仕事をスタートしたのですが、そのときにお世話になっていた千葉のビルダーさんがAPS工法を採用していて、それがこの工法を知るきっかけになりました。

―APS工法で20棟以上の住宅をやっておられる経験豊富なビルダーさんですね。最初の印象は？

莇　それまで主に在来工法をやっていたので、最初は勝手が違うな、と思ったことを記憶しています。在来に比べて、締めたり、打ったり、いろいろなピンがありましたし、ピン1本間違えたら組めなくなりますから、最初は若干、緊張しましたね。ですがシステマチックになっているので、すぐに慣れて施工スピードも上がりました。

―そんな大変な工法にもかかわらず、なぜ採用を？

莇　とにかくしっかりしている、これに尽きます。私たちは上棟から行っていますが、明らかに揺れません。また下げ振り(錘)を見ても、もちろん微調整は必要ですが、まっすぐになっている。そのため躯体を組み上げている間の安心感がまったく違うんです。また一般的なピン工法(金物工法)だと、スリットが刻まれた木材同士を金物で接合させますが、APS工法の場合、大蟻仕口といった昔から使われている刻み方で繋いでいるのも魅力的だと感じています。在来をずっとやってきたベテランの大工さんにとっても理解しやすいと思いますし、事実、父親もいい工法だと認めています。

ビルダーさんにお世話になっていた10年の間、いずれ自分の仕事がしたい、理想の建物を作りたいと考えたとき、APS工法はいつも選択肢の中心にありました。ほかにもさまざまな構法がありますし、営業的な視点もあるとは思いますが、商売を度外視してもっとも良いものを選んだ結果、それがAPS工法だったということです。

―現在、新築物件はすべてAPS工法で施工しているそうですね。

莇　弊社に依頼いただける場合はAPS工法一択です。事務所兼ガレージもAPS工法で建てています。信頼していることもありますが、やはり建てるプロが採用していることこそお客様への最大の説得材料だと思いますから。

信頼、チーム

莇　それともうひとつ、APS工法を選択している理由が㈱ツボイの三浦悠介さんへの信頼です。

―株式会社ツボイはAPS工法のプレカットを担当している福島県の認定会社です。

莇　大工一人では家一軒を建てることはできません。いろんな職人さんの技術と材料を提供してくれる会社があって初めて家が建てられる。ただし各業者さんたちとの信頼関係なしに“いい家をつくる”ことはできません。いい家という最終目的地にたどり着くには、「図面通りに材料を揃えました」「言われた通りに建てました」というスタンスの業者さんとでは実現しえない。

そういう気持ちをもってお付き合いしていくなかで、三浦さんの姿勢を見ていると彼の前提にあるのが「お客様の喜び」であることがわかる。アフターケアだったり、細かな相談にも面倒くさがらずに乗ってくださったり、なにより一緒に考えてもらっていると感じられます。

―プレカットはお施主さんにとっても遠い存在かと思っていましたが、近しい間柄なんですね。地域に根差している工務店という立場だからこそ、いいものをつくり続けることこそ信用・信頼の礎となりますが、そこに三浦さんがおられる、と。

莇　そうなんです。それに三浦さんは上棟のときも足を運んでくれて、それは自分の作っている建材に自信と責任感がなければできないことでしょう。お施主さんにとって躯体は未来の暮らしにとってもっとも大切で、しかも変更がきかないところですからね。私にとって三浦さんは一緒にお施主さんの思いを汲み取って、繋いでくれる仲間なんです。

―莇工務店ではつねに同じメンバーで家を建てているとか。

莇　職人さんも業者さんも各工程で、一か所ずつしかお願いしていません。

―チーム莇で動いている。

莇　それが、わが工務店の売りなんです。お客様にとって職人さんも業者さんも見知った相手であり、共通の知り合い。なのでお客様が集まった時、職人さんの話が出たりする。そういう会話もチーム莇だからこそのコミュニティだと思っています。

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